第1回定例茶会報告

日時:2007年1月28日(日) 15:00〜17:30*1
会場:ロージナ茶房
参加者:10名
論題:欧州IPTV事情、ニコニコ動画、大茶会の打ち合わせ、情報通信省構想など

まずは出張帰りのid:kiraさんからヨーロッパで見聞してきたことを紹介(詳細は非公開)。その一部はご自身によってまとめられています。K's Diary @ cocolog: アーカイブ時代を参照のこと。
kiraさんのエントリにもありますように、フランスには著作権管理の窓口やアーカイビングをする機関としてINA(Institut National de l'Audiovisuel、フランス国立視聴覚研究所)があります。ここは10万本もの映像をネットで公開したことで有名ですね。


そういえばJASRACがマンガの著作権管理にも手を広げるそうです。管理窓口の一元化*2ロージナ茶会および白田先生が以前から主張していたことですが、しかしそれはデータベース事業とは分離させることを前提とした話でした。その点が守られなければ全く違った意味になってしまいます。


さて、次に話題になったのがニコニコ動画です。YouTubeの動画に掲示板の書き込みをかぶせて同時に見せるもの…と言ってもわかりにくいでしょうか。映像の再生開始時間からコメントが書き込まれた時間の差分をストレージしてかませるという手法がとられているようですね。これがなかなかありそうでなかった新規のもので、擬似的な共同体を形成できるのではないかとの指摘がありました。オーディエンスと共にサッカーを観戦しているような気分になれます。


そして大茶会の計画について。今回のテーマは共産趣味*3。日本民主主義著作者連合(民著連)の決起式にして即日解散式という……戦前右翼テイストだった前回大茶会に負けないあやしいクオリティを目指すようです。ゲバ文字フォント多用予定。(茶)と書かれたヘルメットをかぶった人たちが騒いだりとか、丸眼鏡をかけた白田先生が壇上で少年に襲撃されたりするかもしれません。はー……。
ちなみに分派闘争をするために著作権に関する思想を類別するチャートとかを作る予定です。「著作権人権派」とか「著作権なんて5年でいいんだよ派」とかまあいろいろ。
そのうち参加希望者を募集すると思いますので、もし興味があるという奇特な方がいらっしゃいましたらご応募ください。


話は変わって情報通信省構想について。茶会らしい妄想大爆発でした。総務省から放送と通信の規制権限を貰い受け、文化庁から著作権に関する権限を取り上げ、コンテンツ政策に関して規制緩和を行おうというもの。
しかし官僚に次の仕事を残すように計画しないと、官僚がつきあってくれないだろうという話になり、それならJSOX的な何かを作れば良いじゃないかということになりました。参入障壁を撤廃しつつ産業規制を加え、でも法令遵守はしてもらうよう監査しようではないか、と。そして情報通信省は時限省庁として機能し、順次監査機関に転化していくというのが良いのではないでしょうかとの発言もありました。アタリ・ショックやキャベツやヤシガニを防止すべく何か品質保証や資格試験などもすべきだという意見も。
さらには、フリーターやニートをクリエイター認定して最低賃金を確保。また現在生活保護を受けている人たちをクリエイターとして支援。つまり生活保護の支出をすべてクリエイター助成金に、というクリエイター保護政策まで飛び出ました。元ネタは旧ドイツ政府が失業者を国軍に組み込んだところからきているとか。ちなみにアウトバーンのかわりにネット、国民車のかわりにオープンソースのクリエイト・ツールだそうです*4
いったいどこまで本気なのでしょうか……。



【追記】
「管理窓口の一元化」についてid:bn2islanderさんからご指摘がありましたので詳しく述べたいと思います。というかkiraさんに答えていただきました。お二人ともありがとうございます。


ここでは、窓口業務とデータベース業務を分離することを意味しています。
データベース業務を担う主体は、登録を一元的に行い、その情報を管理するということを一手に行います。ただし、彼らが行うのはその情報の管理と、利用申請に対する応諾のみです。権利が信託されている場合はそのまま利用を許可することになるかもしれませんし、権利情報のみの管理の場合は、相手を教えるだけになります。
これに対して、ここで窓口業務といっているのは、実際にあるコンテンツを作成する際に、権利のクリアを行ってくれたり、利用のための手続き(特に信託以外のものについて)を代行してくれたりする業者になります。
これは各分野、各目的毎に複数存在することがあり得ます。あくまでDBは一つですが、それぞれがサービス内容で競争するというイメージです。
登録用の窓口業務と言うこともあり得るでしょう。どのように登録を行えば(権利の束の分け方、信託と交渉のどちらにすればよいか等)、より収益を上げることができるか、ということのアドバイスとかですね。
共通のDBと、それを使ってサービスをする複数の窓口、というイメージだと考えていただければと思います。

*1:茶会が定例化しました。最終日曜の午後です。参加希望の方は茶会のサイトからメールにてお知らせください

*2:この点に関して追記あり

*3:誤植ではありません

*4:この勢いだとJASRACとかパチンコ業界とかいろいろと接収されそうですね