前回・前々回と「SARVHvs東芝」をよく知るための私的録音録画補償金FAQを書いてきました。予告している発展編の前に、番外編です。 本件紛争について「政令を変えたもの勝ち」であるという見方があります。本稿ではこの見解を検討していきます。 行政活動の…
私的録音録画補償金制度とは何なのか、その概略について基礎編でまとめました。私的録音録画制度は、著作権者への利益の還元が目的とするもので、私的使用目的での複製の自由を確保しつつ、金銭で合理的解決を図ろうとする制度だということがお分かりいただ…
SARVH(私的録画補償金管理協会)が東芝に対して補償金の支払いを求めていますが、この紛争の前提となる私的録音録画補償金制度とは何なのか、実はよくわからないという方も多いと思ったので、基礎的な知識をQ&A形式でまとめてみました。 紛争の具体的検討に…
報道によれば、いわゆるWinny事件について大阪高裁が第一審の京都地裁判決を破棄し、Winny開発者である被告人に無罪を言い渡したということである。 本判決が公開された際には全文を読んでみようと思い立つ方もいらっしゃるかもしれない。そこで、本判決を読…
プライバシー権は、当初「ひとりで放っておいてもらう権利」[right to be let alone]として措定され、米国の判例で形成・発展を遂げてきた。 日本においては、「宴のあと」事件の地裁判決*1にて「私生活をみだりに公開されないという法的保証」としてプライ…
いろいろありましたが、ようやっと夏休みに入りました。 最近初めて会った方たちにも意外とこのブログの存在が知られているようで「半可思惟はやめちゃったんですか?」と聞かれることが多いです。 というわけで生存報告をかねて、ぼちぼち更新していきたい…
現在巫女バイトをしているため、受験生にお守りやご祈祷についていろいろな質問されることがあります。私自身、研修を受けなければ知らなかったであろう素朴な疑問が結構あったので、FAQ風にまとめてみることにしました。 「受験は実力勝負」…ではあるのです…
新年明けましておめでとうございます。 本年も半可思惟をよろしくお願い致します。
前回記事「DNA鑑定」導入までの5つのハードルのコメント欄にてharisenさんから以下のようなご質問を頂きました。 コメント欄に返答を書きましたが、長くなってしまったので別途エントリーを立てることにします。国籍法を語るための基礎知識・おまけ編です。 …
国籍法改正案は4日の参議院法務委員会において全会一致で可決、5日の参議院本会議で成立した。 この国籍法改正について、主として「偽装認知」による不当な国籍取得を懸念する立場からの反対運動が展開されているが、改正の前提となった最高裁の違憲判決につ…
前回は国籍法改正の前提となった国籍法3条1項違憲判決について図解した。まだ読んでいない(そして読む気がおきない)人のために少しまとめておこう。 国籍法は基本的に、子が出生したとき父または母が日本国民なら子も日本国民にするという「父母両系血統主…
国籍法改正について反対意見が出ており、署名活動にまで発展している。 恐ろしい国籍法改悪案‐ニコニコ動画 国籍法改正案まとめWIKI 「国籍法改正法案」と「二重国籍取得の容認」に断固反対する署名 そもそも、国籍法の改正(立場によっては「改悪」)が急が…
保護利用小委、法制問題小委、知財制度専門調査会などパブコメの締切が迫っているのですが、まだ資料を読み込めてない今日この頃*1。 でも、文学フリマも迫っているので『筑波批評2008秋』に寄稿した「リアル入門」の脚注部分を公開しておきたいと思います。…
筑波批評社の同人誌『筑波批評』の最新号で拙稿「リアル入門――ネットと現実の臨界」が掲載されます。最新号では、シノハラさん(id:sakstyle)と塚田さん(id:Muichkine)の論考はもちろんのこと、筑波批評社全体の座談会もあります。また、私以外にも筑波批…
前回は、WTO協定がGATTを引き継いで生まれたという歴史的経緯を概説した。今回は時事問題に近い「米のミニマムアクセスって何?」という話をしたい。でもその前に、いろいろと前提となることがらについて説明しなくてはならないので、付き合ってほしい。まず…
現代の国際通商における法制度を語る上で外せないのが、WTO協定である。本稿ではWTO協定とは何かについて歴史的経緯から描写してみよう。 戦争と理想の失敗 高校などで世界史を学んだ人ならたぶん記憶の底にあるだろうが、世界恐慌のときに英連邦ブロックと…
各種報道によれば、米国Google社と著作者団体Authors Guildおよび米国出版社協会(AAP)との間で争われていたGoogle Book Searchに関する訴訟について、Googleが1億2500万ドルを支払うほか、書籍検索サービス向上を協力することで和解合意に至ったそうです。…
米国は訴訟社会だと言われる。そういう時はたいてい、マクドナルドのコーヒーをこぼして火傷したので2億円とか、タバコを吸っていたら肺癌になったとタバコ会社を訴えて20億円以上とか、どうも「わがままでおかしな言い分でも通る」という文脈で話されている…
はてなリングって止めるとか止めないとか言っていたけれど、まだあるんですよ。ゼロアカリング現在「ゼロアカ道場第四関門 藤田-井上ペア公式ブログ」、「筑波批評社」、「萌え理論Blog」、「形而上学女郎館」、「最終批評神話 / re=c」、「ポリリズム やず…
ニコニコ証券取引所の先行きに暗雲…と言うだけでは少し後ろ向きなので、少し別の方向も検討してみた。取引所を運用することと商品を作って取引所で取引することは次元が違うのだが、とりあえず商品を作ることの可能性について考えてみたいと思う。以下では、…
ニコニコ証券取引所というサービスが一部で話題になっている。 マニュアルを見る限りニコニコ証券取引所は、複数の動画をひとつにまとめた「銘柄」について視聴者からの投票で「傾向評価」するというもので、ニコニコ動画とは別の動画レイティング・システム…
個人的には「なぜ今更?」と思うが(試験自体は5月であった。当時の感想はtumblrを見てね)、つい先ごろ平成20年新司法試験公法系第1問が話題になっていたようである*1。 というわけで、とりあえず設問1だけであるが、私が作成した答案例を公開してみる。 問…
ひとつ前のエントリでCCライセンスやGPLへの互換性などを持たせてくれるとすごく嬉しいなどど言ってみたものの、言っただけだとさすがにわがまますぎるのではないかと反省した。というわけで、実際にどうすればCCライセンスと互換になりうるのか、という点に…
「ニコニ・コモンズについて」という文書が公開され、ニコニ・コモンズの指針と詳細が明らかになっている。以前のエントリで、私は「ニコニ・コモンズはライセンスではなく利用ルールないしガイドラインである」と指摘した上で、 しかし、ニコニ・コモンズで…
id:akasataさんが「ニコニコ大会議で発表されたニコニ・コモンズを考えてみる」というエントリにてニコニ・コモンズとCCライセンスについて比較検討している。しかし、私から見ると少し誤解を含んでいるように思える。当該エントリの主旨とはあまり関係がな…
6月11日に青少年ネット規制法が成立した。法案時点での詳しい解説については楠さんのITmediaの記事があるので、是非読んでみてください。 決定事項と懸念事項 楠さんの記事で必要十分なのだが、参議院内閣委員会の審議内容があまり広まっていないせいか*1、…
最高裁判決に於ける検閲の定義と、フィルタリング・ゾーニング・ブロッキングと突き合わせた解釈も考察したい。法学に疎いのでなかなかしんどいが、ここは踏ん張りどころ http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20080509/sd というわけでmkusunokさんの負担を軽減…
補償金の不平等性(俺のiPodにはミクとかCC音源しか入ってないぜ!みたいな人にも課金する)を肯定する著作権的な学説?として補償金≠マンションの管理費説がある。マンションの管理費ってエレベータの使用頻度が異なるのに1F住人も9F住人も同じ料金払ってる…
「盲点」になっている有害情報規制法案 MIAUで同じく幹事をやっている中川さんも既に述べているし、池田信夫先生の記事にもあるように、インターネット上の有害情報規制法案は、かなりまずい雰囲気である。児童ポルノ法改正や人権擁護法案、共謀罪に関しては…
本当はエイプリルフールしている場合じゃないはずなのですが…でも今は後悔していない。 さて、以前31日に公表予定だと書いたプロジェクトは、「かぐや」関連でした。詳細は「『かぐや』ハイビジョン映像公開に関する質問状の送付について」という記事をご覧…