ニコニコ証券取引所の先行きに暗雲?

ニコニコ証券取引所というサービスが一部で話題になっている。
マニュアルを見る限りニコニコ証券取引所は、複数の動画をひとつにまとめた「銘柄」について視聴者からの投票で「傾向評価」するというもので、ニコニコ動画とは別の動画レイティング・システムのようだ。つまりインターフェイス証券取引所風になっているだけで、実際に証券などの金融商品を取り扱うわけではないらしい。

これはとても面白い試みだと思う。でも私は見た瞬間不安になった。景表法や金融商品取引法的に危ないんじゃないかと心配になったからだ。

そうしていたら、twitterでkouteikaさんから金融商品取引法86条2項に触れるのではないかとの情報提供を頂いた。はてブコメントでもid:bm_comさんが同様の指摘している。


金融商品取引法86条は以下のように規定している。

第八十六条(商号又は名称)
  金融商品取引所は、その名称又は商号のうちに取引所という文字を用いなければならない。
2 金融商品取引所でない者は、その名称又は商号のうちに金融商品取引所であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

残念ながら、おそらくニコニコ証券取引所は「金融商品取引所であると誤認されるおそれのある文字を用い」たものだと判断されるのではないだろうか。そうであるとしたら、罰則もある点に注意が必要である。

第二百五条
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
十六  第八十六条第二項の規定に違反した者

したがって、ニコニコ証券取引所の運営者には、6ヶ月以下の懲役か50万円以下の罰金、またはそれらの両方が科される可能性がある。

ニコ証の運営者は、おそらく視聴者を騙そうとかいう気はないのだと思うし、単純に金融商品取引風のランキングやレーティングシステムが面白いと思って開発したのだと思う。しかし、知的財産信託やシネマファンドがかなり一般的になってきている状況では、ニコニコ証券取引所は誤解や混乱を招いてしまうだろう。試みとしては面白いと思うので、名称変更やインターフェイスの改変を進言したい。仮に、お金の徴収なども企画しているようであれば、事業化と申請が必要だと申し添えておこう。

後半へ続く