追補・エルマーク

前回前々回のエントリに多くのご意見や反応をいただきました。また、PDF版スライドバージョン、私の乏しい技術力では出来なかったグラデーション画像などを作って頂けたのは望外の喜びでした。CCのby-nc-sa ライセンスで公開して良かったです。
umikajiさん、Spiegelさん、日本違法サイト協会さんに深く感謝します。またid:illegal-siteid:corpvsさんには誤字の指摘をしていただきました。合わせて御礼申し上げます。

エルマークは利用者が迷うことなく当該音楽配信サイトが適法かを識別できることを担保するには機能的に不十分である点について

さて、いくつかお返事を書いたほうが良さそうな記事がありましたので追補をしていきます。

したがって、エルマークを有するRIAJは、ライセンスした表示サイトに違法音楽ファイルが含まれないように条件を課すでしょうし、また、ライセンスを受けていないサイトでのエルマークの使用を排除するでしょう。

以上のことから、エルマークによって「利用者が迷うことなく当該音楽配信サイトが適法かを識別できる」ことを担保することは可能だと考えます。

http://d.hatena.ne.jp/shiranui/20080224/p1

shiranuiさんから上記のようなご指摘を受けましたが、最初のエントリだけではまさにこのような解釈が生じかねないと思ったからこそ「図解」エントリを作成しました。あの図は見にくいかもしれません。そうであるなら、スライドバージョンやPDF版でご確認ください。
私があの図で描写したように、適法に楽曲が配信されるサイトのうち、エルマークエルマークの付されているサイトのみをカバーできます。しかし、それ以外にも適法音楽配信サイトはたくさんあるのです。
shiranuiさんが仰るように、エルマークのGIF画像を許可なく貼り付けたり偽装したりする違法配信サイトが出てきたら、商標権と著作権のダブルで損害賠償と差止請求すれば良いでしょうし、実際のところ、エルマークを違法に使用したり偽装エルマークを作成したりなどという手間のかかることを違法音楽配信サイトはしないでしょう。そうであるならば、エルマークを付けたサイトは、レコード音源保有者の許諾を得ている可能性が向上します。その点は全くもってその通りであり、私も「エルマークというしるしが証明してくれるのは / レコード会社と契約して音楽を配信しているということです / そういう意味では / エルマークは利用価値の高いもの」であり「これはこれで意味のあるマークかもしれない」と書いています。
しかし、繰り返しになりますが、エルマークのないサイトであっても適法音楽配信サイトはたくさんあるのです。国内音楽配信事業者のうち98社がエルマーク表示をしているようですが、国内音楽配信事業者は120社ほどあるそうです。残りの20社くらいは正規サイトであってもエルマークを表示していません。iTunesも現時点ではエルマークを付していません。自作楽曲をサイトで公開し頒布しているインディーズの人やアマチュアの人、さらには海外音楽配信事業者サイトは、エルマークを使用していません。
以上のような状況で、利用者はエルマークで当該音楽配信サイトが適法か違法か識別できるのでしょうか。エルマークを表示していない20社のうちのひとつの適法サイトにアクセスした利用者はどう判断するのでしょうか。あるいは自作曲を公開していると述べているサイトは違法の推定がはたらくということになるのでしょうか。

何度も申し上げるとおり、エルマークはレコード会社と契約して音楽を配信しているという、ただそれだけを示しています。エルマークは「合法マーク」ではありませんし、適法か違法かを判断をするメルクマールとしては足りません。言い換えますと、命題として「エルマークが表示されているサイトならば、適法サイトである」ということは(多くの場合)正しいでしょうが、その逆は成り立たないということです。そしてこの命題やその対偶をいくら証明したところで、逆や裏を証明することにはならないのです。包含関係は前回図で示しました。そして必要十分条件になることがありえないのは前述した通りです。


なお、mohnoさんは以下のように指摘されています。

半可思惟さんは、「商標の機能だけでは限界があり、適法性の判断には不十分」と書かれているのだけれど、はっきり言って「商標の機能は適法性の判断には何の役にも立っていない」のではないかと思う。だって、商標登録したからってできることは「エルマーク」と混同するようなマーク(?マークとか)を合法に作れないということであって、そもそも相手は違法サイトなんだから合法性なんて気にしないでしょ。

http://domainfan.com/CS/blogs/mohno/archive/2008/02/22/1775.aspx

私が「商標の機能は適法性の判断には何の役にも立っていない」と言い切らず、少しは機能があるが不十分であるとするのは前述の理由によるものです。
繰り返しになってしまって恐縮ですが、商標権者たるRIAJが真面目に権利行使をし、自己の有する商標権を根拠に差止請求すれば、エルマークによって、レコード会社と契約して音楽を配信している事業者であることは、ある程度の蓋然性をもって担保できます*1。そして、エルマークを許諾を得ずに表示したり、紛らわしいマークを付けたりする違法音楽配信サイトなんてごく少数であるとの推論が成り立つならば、エルマークを表示したサイトは、レコード音源の許諾を得ている可能性が向上します。
つまり、エルマークは利用者の予測可能性をある程度向上させてくれます。それは良いことだと思いますし、私はエルマークの趣旨自体に反対するつもりはありません*2


上記趣旨のもと、エルマークによって「利用者が迷うことなく当該音楽配信サイトが適法かを識別できる」ことを担保することはできず、機能としては不十分であると述べました。


ただしmohnoさんは、別のエントリで

まず、エルマークのエル(L)は、Legal(適法)の L ではなく License(ライセンス)の L である。エルマークの有無は、RIAJ の会員であるレコード会社の楽曲(以下、商用楽曲)について配信ライセンスの有無を示すのが本来の目的である。たとえば、自主制作楽曲を公開するサイトは適法なのだからエルマークをつけたい、といっても RIAJ の許諾は得られないだろう。エルマークをつけたサイトが、RIAJ 以外の楽曲で不正を働くことは考えられないから「エルマーク有=適法」ではあっても、自主制作楽曲を配信するサイトについてまで広げて「エルマーク無=違法」という判断基準になるということは、ありえない。私は、そんな心配は元からしていないし、誰も心配する必要はないと思う。

http://domainfan.com/CS/blogs/mohno/archive/2008/02/24/1776.aspx

と述べていらっしゃいますから、私とmohnoさんとでは「適法性の判断の役立つ」の定義ないし閾値が異なっている可能性があります。
また、後半部分のエルマークが判断基準になりうるという心配についても、私とmohnoさんとでは程度が異なっているようです。このことは次の項目で説明しましょう。

エルマークがダウンロード違法化推進の意図も含んで発表されたであろう点について

shiranuiさんは

エルマークが認知されれば、掲示板にアップロードされた商用音楽ファイルは、違法にアップロードされたものだとの認識が、需要者に広がるようになるでしょう。それば、啓蒙活動ではないでしょうか。

http://d.hatena.ne.jp/shiranui/20080224/p1

とも述べていらっしゃいます。啓蒙活動という点で言えば「音楽違反」というキャンペーンが同時期に発表されました。そのため、エルマークは違法アップロード防止に向けた啓蒙活動と見ることができるでしょう。違法アップロードに関する啓蒙活動に資するのであればそれは良いことだと思います*3
しかし、エルマークに関する報道を見る限り、ダウンロード違法化推進の意図もあるようです。「適法サイトと違法サイトの区別は困難」とのパブリックコメントの意見に対応するものだとか、今回記者会見で意見を述べたお一人である秦氏の肩書きが、RIAJ 私的録音委員会委員長兼違法配信識別ワーキングチーム座長となっていることからも、ダウンロード違法化を見据えた合法と違法の識別を本来企図したものなのではないか(そうした目的を持ちつつ紆余曲折でエルマークということになったのではないか)、あるいはそうしたプロモーションの一環なのではないかと私は思いました*4。これは私の推測にすぎないので、事実かどうかはわかりません。けれども、エルマークをもって「利用者が迷うことなく当該音楽配信サイトが適法かを識別できることを担保できる」というような誤った解釈が広まる恐れがあるとの危惧を抱きました*5
例えばasahi.comは以下のように記述していて、誤謬はないのですがミスリーディングとなりうるのではないかと感じます。

日本レコード協会は、インターネットを使った音楽配信サービスのサイト運営者に対し、レコード会社と正規の契約があるサイトであることを示す識別マークを発行する事業を始めた。携帯電話向けを中心に数多くある違法配信サイトと区別し、利用者に適正な利用を促す狙いだ。

http://www.asahi.com/culture/update/0224/TKY200802240158.html

前々回のエントリや図解のなかでは最終段落部分でその点、皆さんの注意を喚起するよう努めましたが、その意図は明示しなかったので伝わらず、誤解を呼んだ部分もあったかと思います。もしそうであるなら、申し訳なく思います。

本筋からは外れるが、経済法上問題ある運用について

暇人#9さんは、注記において以下のような懸念を表明されています。

なお競争上問題ある運用が為されるようであれば当然ツッコミが入ることとなるだろう。たとえばある配信サービスにエルマークを表示させて、エルマーク対象外のコンテンツを扱うようならエルマークを引き上げるぞ──なんてことをやったら多分問題あるよね? それとかエルマークを付したインディーズの音楽配信とそうでない音楽配信とで流通上の差別的扱いを助長させるようなことをするとか。まぁレコ協が絶対にそれをやるという意味ではないけど。懸念されるのはそういうところでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/himagine_no9/20080225/p1

このことについて若干解説をします。商標に関して言えば、独占禁止法21条は

この法律の規定は、著作権法特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。

と適用除外を示しています。しかしながら、もちろん、悪質な場合は摘発されます。事例を挙げて、あとは簡単な説明だけにしておきましょう*6。パチンコ規制特許プール事件(勧告審決平9.8.6)、EMI着うた事件(勧告審決平 17.4.26)、コナミ事件(平15.4.22公取委警告)などです。
同業他社に対してライセンスの許諾を必要以上に遅延させたりとか、不当な理由で申請を受理しないなど運用方法*7をとると私的独占(独禁法3条前段、2条5項)に抵触します。

この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

つまり行為要件としては排除と支配があり、効果要件としては一定の取引分野における競争を実質的に制限することが認定の規範となります。
ここで言う排除とは、「市場支配力を獲得あるいは強化するさまざまな行為によって、ほかの事業者が独自の事業活動を続けること、あるいは新規参入を著しく困難にすること」であり、支配とは、「他の事業者を直接間接に拘束しあるいは強制することによって、その事業活動を自己の意思に従わせること」を指します*8
そして、暇人#9さんの想定するように「ある配信サービスにエルマークを表示させて、エルマーク対象外のコンテンツを扱うようならエルマークを引き上げるぞ」という強要をすると、今度は不公正な取引方法(19条、2条9項)に抵触する可能性があります。おそらくは一般指定*9の11項でしょうか。

不当に、相手方が競争者と取引しないことを条件として当該相手方と取引し、競争者の取引の機会を減少させるおそれがあること。

ただし、公正競争阻害性が認められなければ該当しませんから*10、事案によるということになりそうです。

本筋とはやや逸れるが、商標権の侵害について

暇人#9さんからは以下のような質問がありました。

ちなみに登録商標でなかったら、「不法に」と言われるためには更なる要件が必要になるような‥‥。あとマークを付けた人間が非商用目的だったらどうなるんだろう? 教えて inflorescencia さん。

http://d.hatena.ne.jp/himagine_no9/20080225/p1#20080225f5

正直、『商標法概説』とかにあたってほしいところですが、名指しで聞かれたので一応お答えしましょう。でも、ちゃんとしたテキストで勉強される方が絶対良いと思います。

まずは商標権の基本的性質についてからです。商標権は、基本的に登録しなければ権利は発生しません。先使用権(32条)が例外的に認められている程度で、その範囲も狭いものです。ここが著作権法との大きな違いですね*11。商標権が権利付与型であると言われる所以です。

なお、先使用権者がいて、しかも4条1項10号や商法39条(および特許法104条の3)があるのに、同一または類似の商標が登録されてしまい、除斥期間の5年(47条1項)が経過した場合はどうなってしまうかについてなど、いろいろ問題があるわけですが、そこは軽く飛ばします。

次に商標権の侵害についてです。商標法2条3項は、この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう、とした上で、以下の各号を規定しています。

1.商品又は商品の包装に標章を付する行為
2.商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
3.役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
4.役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
5.役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
6.役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
7.電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
8.商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

そして同4項は

前項において、商品その他の物に標章を付することには、商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。

としています。このような「使用」のうち、商標の固有の機能が害されている使用態様については商標権の侵害が認められます。例えば、真正品の並行輸入は、形式的には商標の「使用」に当たりますが(同2号)、実質的違法性を欠く行為であると言われ、侵害には当たらないとされています*12。しかし真正品であっても包装を付す行為には商標権の効力が及び(同1号)、商品を小分けにして販売することは侵害にあたるとされる。商標のついた商品の包装をはがした上で再包装して商標を付けると、例えば食品の場合だったら、小分けにしたときに異物が混入したり、風味がおちたりするため、登録商標に対する信頼の基礎は失われ、登録商標の機能を発揮することができなくなるからです。

さらに37条は

次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
1.指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
2.指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
3.指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
4.指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
5.指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
6.指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
7.指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
8.登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

と規定しています*13。よって、上記に該当する行為は商標権の侵害にあたる可能性が極めて高いと言うことができます。

その他

エルマークのライセンス料は無料であることを考えると、費用対効果が悪いというのが、私には分かりませんでした。

http://d.hatena.ne.jp/shiranui/20080224/p1

もし違法着うたサイト撲滅とダウンロード違法化推進が第一義的な目的だったら、著作権についてエンフォースメントしたり、単なる啓蒙活動をした方が効率が良く、エルマークは手法として迂遠という意味です。主語はRIAJであり、ライセンシーたる音楽配信事業者ではありません。

実はネタ元の inflorescencia さんの記事でも、一般論としての「商標」と「エルマーク」の区別が付きづらいきらいはあるのだけど。

http://d.hatena.ne.jp/himagine_no9/20080225/p1#20080225f5

あのエントリは、エルマークの商標としての側面から考察した記事なので、商標一般に該当することはエルマークにもあてはまります(というか、そういう前提でやっている)。上位互換であるということです。

タグには著作権と便宜上つけているけど、この問題がネット界隈で議論しづらいのはこれが著作権ではなく商標権で実施されているところにあると思う

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20080222/1203673768

私もそう思いました。そう思ったので、最初のエントリーでまとめなおして状況を少し整理してみました。

Lessigに続き政治家への道を歩き出しましたか

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20080222/1203673768

いやいやいや。でも、少しはプレゼンを意識したかも。

*1:商標機能の限界については前々回のエントリで述べた通り。「認証サイト検索システムとかがあった方が実効性があるのだけど、商標という観点から言えば、『需要者が見ただけで判断できる』という識別コストの低下(ある登録商標は『独占的』であるため、いちいち流通経路を検証しなくても大丈夫)にポイントがあるわけだから、この批判は商標たるエルマーク自体に対しては妥当しない。ただ、そんな不完全な体制で(つまり登録商標を使うだけで)『利用者が迷うことなく当該音楽配信サイトが適法かを識別できる』ってのは甘いんじゃないの?という批判であれば」妥当である

*2:shiranuiさんは「inflorescenciaさんは、ダウンロード違法化のことを見据えつつエルマークを考察されるので、問題点を指摘されているのでしょう。私は、エルマークそれ自体は、必要最小限の効果しか得られないとしても、やったほうがいいと思います。」と述べていらっしゃるが、私もエルマーク自体を否定しない

*3:ただし、エルマーク表示のない「掲示板にアップロードされた商用音楽ファイル」があるというとき、RIAJにレコード音源を託したアーティストの楽曲である可能性もありますし、インディーズ・アーティストが自分のプロモーションのためにアップロードした可能性もあるでしょう。後者は近年において皆無あるいはごく少数とは言い切れない可能性になっています

*4:暇人#9さんも「ただし「適法マーク」との別称で私的録音録画小委員会での議論に概要が(レコ協から)提出されている以上、エルマークが所謂ダウンロード違法化の議論の前提となり得るのか評価されることは免れ得ない。」と指摘されていますhttp://d.hatena.ne.jp/himagine_no9/20080225/p1

*5:この点が前述したmohnoさんとの相違点

*6:これを機に経済法も勉強してみてね。にこにこ

*7:たとえば、同じ同業他社でも既存の企業に対してはライセンスの許諾を1ヶ月で出したのに、新規参入をしようとする業者には同じライセンスの審査を1年以上引き伸ばし許諾を与えないでいる場合などを想起してもらいたい

*8:以上の定義二点は根岸=舟田『独占禁止法概説』(2006)による

*9:公正取引委員会が告示する「不公正な取引方法」の一般指定

*10:公正競争阻害性については諸説あるので調べてみてね。にこにこ

*11:著作権は登録しなくても創作した段階で権利が発生

*12:余談だが、この「実質的違法性」という概念がいかなるものか私はよくわからない。説明している論文もないようだ(知っていたら誰か教えてください)。おそらく刑法の違法性阻却の概念と似て非なるものであると思われる。なお、この疑問については whimsy inflorescencia - 商標権と著作者人格権に見る実質的違法性論にて別途書き起こしました

*13:なお、39条が特許法103条を準用していますから、商標権または専用実施権を侵害した者の過失が推定される