CCLのmorePermissionsについてまだ続く


さて、f99aqさんからブクマコメントをいただきました。

狭めることは CC のライセンスと矛盾しないと思いますが、広げたら矛盾するんじゃないですか? > id:himagine_no9

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20070920/1190220064

暇人9号さんへの質問ですが、同趣旨の質問が前回のエントリにコメントされていたので、その答えを転載させていただきます。

bn2islander 『そこまで細かい付加条件を付けると、付加条件だけで十分であって、あえてCCを宣言する理由が失われてしまうように思います。もっとも、これはCCのとらえ方の違いなのでしょうね。柔軟さを犠牲にする代わり、誰にでも分かりやすい意思表示を行うというのが、CCの意味であり、存在意義だと思っていますので。』 (2007/09/21 23:12)



inflorescencia 『>ozricさん
というか津田さんですね。コメントありがとうございます。
「最初から細かくやれって言われても多分できなかっただろうなー」ということも多分にあることと思います。
このエントリではshidhoさんの「じゃあmorePermissionsでどういう風にすればその意志を表示出来るのか、というのはそういうことを知っている人から聞けたらうれしい」との記述を受けて、morePermissionsの形をとって記載しましたが、要はどういう利用なら良くてどういう利用は望まれないのかを事前に示せば良いのですから、「こういう利用について問い合わせがありましたが、許可しましたよ」という形式でも同様の効果を得られると思います。
結局CCLに書いていないことは当事者同士で相談してくださいよ、というのが原則です。でも個別に許可できること/できたことを提示しておくのは、利用に関する紛争の予測可能性を向上させます。
morePermissionsの書き方のテンプレについては別途書いてみたいと思いますが、普段音楽をほとんど聴かない私にとって、サンプリング/マッシュアップにどのような要望があるかを考えるのが難しいので、そのあたりはご容赦ください。


>bn2islanderさん
コメントありがとうございます。
「柔軟さを犠牲にする代わり、誰にでも分かりやすい意思表示を行うというのが、CCの意味」というのは少し誤解しているのではないかと思います。
前記の津田さんに対するコメントと重複しますが、利用者はCCLに書いてあることしかできないわけではありませんよね。ライセンスに書いてあることは、著者権者にいちいち問い合わせなくても実現可能ですよ、と言っているだけで、それ以外のことをもしやりたかったら、著作権者に直接問い合わせてやっても良いか個別に聞くわけです。
morePermissionsという語からもわかる通り、これは個別の許可をあらかじめ提示しているだけなのです。何らCCLを付与する存在意義を毀損するものではないと思いますが、これもCCLの捉え方の違いでしょうか?
…と書いていて思ったのですが、もしかしたら「付加条件」という語が誤解を与えているのかもしれません。そうであったら申し訳なく思います。』 (2007/09/22 16:21)

http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20070921/1190314597#c


himagine_no9さんもそうですが、sonotaさんも似たようなことを考察していたようです。

cc:morePermissions で示したリンク先の記述は制限を加える目的で書かれるべきではない、利用者が必ずしも目を通さなくてもよい内容にするべきだ ……と考えていますが、ちょっと検討中。理由については 前に書いたやつ(CCLに制限を加えること、または制限を緩めることについて ) を参照してください。
まあ、そもそも「permission」ですから、素直に考えれば何かを制限・禁止する目的で条件追加をするためのものではないのだと思いますが(でも「制限目的で使うな」とはっきり書かれているわけでもなく)。

morePermissionsを許可系にするか制限系にするかという問題についてですが、私は上記の通り許可系を想定していました。予測可能性にかかわる問題だと思うからです。つまり利用者がCCLのみを見て判断した場合、確かにその利用者はちゃんとmorePermissionsを調べなかったという過失があるわけですが、例えばmorePermissionsが他言語で書かれていた場合や、継承されて原作となっていた場合など、利用者に酷な場合も考えられます。というわけで、morePermissionsより緩いCCLを設定することは取引安全を害すことになります。
sonotaさんも述べられていらっしゃるように、制限目的で使うなとは書いていないので制限しても良いのかもしれませんが、予測可能性の見地からするとあまり好ましくないだろうというのが私の見解です。


ですから、小寺さんのおっしゃる「孫コピー禁止」などはCCLに制限を付加しなくてはならないのであまりおすすめできません*1
また、検証不可能性(訂正。shidhoさんご指摘ありがとうございます。失礼しました。)検証可能性を要求することも著作権の範囲からは逸脱してしまいます。よって、この2点の要望を実現するのであればCCLのmorePermissionsに「著者からのお願い」として任意なものを付けるか、CCLでない独自のライセンスを採用するかが望ましいと思います。

*1:前回エントリで小寺さんの意見を書き入れなかったのはそのため