著作権保護期間延長のつづき

明日書くって言っておきながら
数日あけての更新・・・。
で、前回の続きですが。

前回のまとめ(著作権保護期間延長とその理由1)

  • 著作権保護期間を「創作者の生存期間+50年」から「創作者の生存期間+70年」にしようっていう主張がある
  • その理由のひとつは「著作者による支配権の強化→創造の促進」だ
  • 「ある作品の発展・洗練は、創作者の子孫あるいは相続者によって制御されるべき」っていう封建制っぽい前提がありそう
  • 封建制っぽい方が効率的な場合もあり

というとこで、
企業も著作権保有できる*1ってお話の途中でした。


某ネズミ帝国とか企業で著作権を持っている場合はなかなか多いけど
企業が著作権もってて、その保護期間を延長するって
どういうことになるんだろう?


たとえば、既存のキャラクタが大好きで
そのキャラクタを使って新しい物語を作ったとする。
その物語を公のものにしたいなら、
それなりの対価を払って、許諾をもらわなきゃいけなかったりする。
じゃなきゃ著作権持ってる企業に就職して、
企画部にもぐりこむとかね。


白田先生はこのことについて
こう考察する。

これは、企業体が保有している著作物を、あたかも工場に設置された機械のような生産手段とみなして、その「資本」の支配下に個人を置こうという政策にみえる。すなわち、創造を行いたいと考える個人の立場から見れば、知的資本によって支配(搾取)される知的労働者という図式になってしまうわけだ。


でも、同時に

価値のある財は、民間営利企業体によってこそ効率的に活用され、最大の効用を抽出することができる。それゆえ、このような知的財産資本主義体制(=知的創造の「労働化」)は、全体としてみた場合、創造を促進する効果を持つのである、という思想が展開されていると見ることができる。

つまり元の作品を利用して創作しようって人には厳しいけど、
すでに出来上がってる作品をうまく生かすことができる
ってこと。
そして著作権保護期間延長を主張する人たちは、
後者の方をとても重視しているということです。

理由その2

また、ふたつめの理由について。

「日本国が知的財産戦略を推進している」という事実認識のもとに、「著作権の保護期間について外国と調和すべきである」としている

のだけれど、これって

単純に考えれば「よそが伸ばすなら、うちもうちも!」という論理が考えられるが、知的創作を行うような知的水準の高い人々の団体の主張の根拠がそんなに単純なものとは考え難い




・・・・( ´・∀・`)素敵な皮肉ですね



しかもなんで20年なのかわけがわからない、と。


でもあえて根拠をさがすとすれば
日本では著作権切れだしてて、EUとかでは著作権がまだ有効な
戦前から終戦直後ごろの著作物が
いっぱい輸出されてて赤字がすごい、とか・・・
でもそんなに輸出たくさんしてるか??
仮にそうだとしても

知的財産戦略の検討の結果、著作権の保護期間の短縮や、より自由な使用・利用を一般的に許したほうが有利であると判断される場合、政府は、諸外国にその利点を説得し調和を促進することになるだろう。こうしたことから、延長の理由その2は 延長あるいは短縮について中立的な理由であり、それ自体では延長の理由としては説得的でない

やっぱり「うちもうちも!」っていう論理なのか。

さて、次は3つめの理由だけど

「我が国のコンテンツ創造サイクルの活性化」は、理由その1と同一のことを述べており、「国際競争力の向上を図る」は、理由その2と同一のことを述べていると読めるわけだ。しかし、「理由が二つではカッコ悪い」「理由としては三つが収まりがいい」 というような安直な理由でその3が設定されたとは考えられない





・・・やっぱり(ノ≧д≦)ノ彡┻┻



うーん。ぱきっとだまされてたけど
白田先生、著作権保護期間延長を批判してます。


てなわけで、秘められていた(?)批判の根拠は
また次回!*2

*1:より正確に言えば「創作者はその権利を企業体に帰属させることができる」

*2:「じかい」って変換したら「自戒」が出てきました・・・ネタでなく。