フリーソフトウェアの保守と運用

先日Windows Live Messengerに移行しようとしたのですが、ダウンロードしたのにも関わらずうまく起動できないということが起きました。削除と再インストールを行っても、周囲の方にも聞いても一向に解決しないので、Microsoft Customer Supportに問い合わせのメールを送ったのです。
するときちんと24時間以内に返答があり、定型化されているだろうとは言え、非常にきめ細かい内容でした。*1


聞くところによると、こういったサポートには三段階あって、(1)FAQを用意しておけば足りるレベル(2)個別具体的な質問に対して場合分けして定型的に答えるレベル(3)技術的に想定外で調査して返答しなくてはならない難易度の高いレベルがあるそうです。
そしてこうしたサポートはどれも非常に手間暇がかかります。

As has been discussed many times over the years, maintenance is the most expensive part of the software development life-cycle. I think that the software development community would be better served by discussions of how to build more robust, flexible, and maintainable software (thereby driving down TCO), than by the endless discussions that we currently see about how to build it quickly.


何年も論議を重ねてきましたが、ソフトウェア開発のライフサイクルにおいてもっとも重要なのは、メンテナンスなのです。ソフトウェアを開発するコミュニティは、現在いかにしてソフトウェアを素早く作るか考える話をだらだらと続けることに時間を割くよりも、今よりもっとしっかりしていて、順応性があって、そしてメンテナンスができるソフトウェアをいかにして作るかという議論に時間を割いた方が良いのではないかと思います(TOCからこの結論が導けます)。


Slashdot | Too Much Focus on the Beginning of Software Lifecycle?

つまり初期投資だけではなく保守や運用も大切だということです。
保守や運用のコストはばかになりません。


このような点において「Windows税」は正当化されます。
それと同時にフリーソフトウェアの欠点を指摘できると思います。あくまでイメージに過ぎないのかもしれませんが、それに制度的にそうなっているところもあるのでしょうが、フリーソフトウェアは基本的に自給自足というか職人気質なところがあって、素人にやさしくありません。よって初期投資が安いからという判断基準だけでは、後で高くつく場合もあります。
Windows 98とMeのサポートがなくなればLinuxにユーザーが流れてしまうかもしれないというmicrosoftの危惧も、このような考えが背景にあります。
そして裏返して言えば、フリーソフトでビジネスをやるとしたら、保守や運用の分野にこそ可能性があるのだということになるでしょう。*2

*1:指示に従ったところ、起動することができるようになりました。

*2:もう既に実行している企業があるかもしれませんが。