「天に積む宝」を

Copy & Copyright Diary:[著作権]延長反対ロゴ経由で知ったのですが、aozora blogにて著作権延長反対ロゴを貼ろうというキャンペーンが実施されているようです。

2006年7月23日の読売新聞一面に、「著作権 映画以外も70年/関係団体一致 「死後50年」延長へ」と題した記事が載りました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20060723i101.htm

これまでも自分のページには、延長反対のロゴを貼ってきましたが、関係団体の協議で70年延長が決まったといった書きっぷりのこの記事を読んでいるうちに、「もっとたくさんの人と、声をそろえて読売新聞に教えてやらなくては」との思いがつのりました。
http://hpcgi1.nifty.com/hongming/komorebi/wforum.cgi?no=1053&mode=allread

著作権の保護期間を、これまでの作者の死後50年から70年に延ばすのは反対だ!」

この立場を共有できる皆さんに、延長反対ロゴの貼り込みをお願いします。


http://www.siesta.co.jp/aozora/archives/002765.html


というわけで、私も
著作権保護期間の70年延長に反対


この件に関して、どうして反対するのか知りたいという方は、白田秀彰先生の「もう一つの著作権の話」を読んだ上で、「天に積む宝」を読んでみてください。*1

でも忙しい方のために、ポイントだけ引用してみます。

商品として販売されている著作物を買わずに済ますためにするような種類のコピーは、結果的に皆さん自身の利益を損なうことになります。だからすべきではありません。その理由については既に説明しましたね。*2何かの理由で作品の部分的なコピーが必要になる場合があるでしょう。そのコピーが皆さん自身の学習や研究や表現のために必要であるならば、また、その必要な部分だけを簡単に買うことできないのなら、それは容認されるべきと私は考えます。

「もう一つの著作権の話」

これは大前提ですね。でも今は

私たちはネットワークを通じて創作者本人と直接に語り合ったり、自分が感じた感動や創作者への感謝の気持ちをいろいろなかたちの支援で表すことができるかもしれません。お金という冷たいメッセージだけではなく、私たちの温もりのある行動で感謝を表すことだってできるのです。

「もう一つの著作権の話」

もし「商業的な出版が成立しないほど少ない利用者しか想定できない作品」だったなら

著作権が、学問や芸術を振興するという目的を掲げている限り、こうした種類の小さな作品や出版物を振興することはその目的に適うことです。だから、著作権を解釈したり運用したりするにあたって、こうした小さな作品を作っている人々に過剰な負担をかけるようにすべきではありません。排他的独占権を厳格に適用して、若い才能の芽や隠れた天才に足枷をかけてしまうことは、結果的には、優れた作品が生み出す経済的利益の一部を受け取ることで成り立っているメディア企業の自らの首を絞めていくことなります。文化や芸術は、かつての天才の作品を骨董品のように崇め奉るだけでは腐ってしまいます。それは、常に新しい価値を求めて変化を続けるダイナミックな運動なのです。新しい才能が自由に表現を広げていくことこそが文化に熱い血を流しつづけるのです。

「もう一つの著作権の話」

ここで、過去の作品について考えると

作品が長い年月を経てなお人々に読みつがれるためには、たくさんの読者から選んで頂かなければなりません。人の嗜好にはいろいろと個性がありますから、作品の命を長らえさせることを考えますと、できるだけ広い人に作品の存在を知ってもらい、そうした人たちに読みやすい状態に作品を置かねばなりません。作者を賛える記念碑に石を積むという目的のためには、著作権法の規定でいけば、氏名表示権と同一性保持権は維持しなければなりません。しかし、排他的独占権すなわち「お金を払わない限り読むことを禁止します」という権利は、いくらかの程度で、読んでくれるはずだった読者を拒絶することになります。

「天に積む宝」

ということになります。だから、著作権保護期間延長に反対します。*3

*1:こうした甘い抽象論では納得できないという方、現実的な論理展開がされてますので、 「やっぱり保護期間延長を批判する」(HotWired Japan)を読んでみてくださいね。

*2:引用者注:「皆さんが「コピーすればタダだ」と思ってやっているコピーは、たいていの場合は、社会全体としてみれば無駄が多く不効率なものなのです。本来、企業が安く合理的にできることを、わざわざより多くの費用をかけて行っているわけですから。したがって、社会全体の効率という観点から見たときに、著作権法の決まりを守ることは私たちの利益に適うことだということができます。しかし、だからといって、「排他的独占権」をもっているメディア企業が漫然としていて良いわけではありません。メディア企業は、社会の情報伝達を効率化する目的のために最大限の努力をし、常にもっとも安い価格で私たちに情報を伝達しつづける使命を負っているのです。」

*3:それで、代替案として「二階建て案」を支持しています。