ファミリー・アフェア

「所有」をめぐる冒険、世界の終りとプロパティ・ワンダーランドの財産シリーズの続き。 今回は夫婦の財産についてです。 はじめに―問題の所在と考察の方向性 民法は、夫婦の財産関係につき当事者間に契約がないときは法定財産制度に拠るとしています(755条…

憲法改正の限界について

前回、前々回と続けていた財産シリーズは一時お休みして、今回は憲法改正と民主主義のお話です。 id:chaturangaさんが「憲法改正限界説に関する素朴な疑問」というエントリのなかで、以下のような問題提起をなさっています。 九十六条には、変えられないもの…

Winny特別調査員2の違法性について考えてみました

ネットエージェント社が発表した「Winny特別調査員2」という製品について、無印吉澤さんとid:atsushienoさんとTwitter上で話したことのまとめです。 Winny特別調査員2は、「調査員CD」を会社が従業員に配布し、従業員が自宅のPCにCD-ROMをセットすることで…

再来年は1984年になるか?

違法コピーしたコンテンツのダウンロード自体を非合法化しようという動きがあります。 政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍首相)は、音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をインターネット上からダウンロードすることを全面的に禁止する著作権法改正に着…

/.Jインタビュー ローレンス・レッシグ教授に聞け!

怒りに燃えるid:mhattaさんがスラッシュドットでインタビュー企画を敢行しています。 幅広い分野の有名(場合によっては無名)人へ、/.の読者から寄せられた質問を送り、メールで答えて頂くというのが基本的な形式です(本家のインタビューを、/.Jの有志が翻訳…

意外と知られていないこと‐しったかぶれる法学用語解説(4)

【民事法と刑事法】 民事法とは、私法の実体法とその手続法を含んだもののことで、刑事法と対比した法として把握されます。それに対して刑事法とは、国家の刑罰権の行使を規律する法の実体法のことです。 違法な行為が成された場合、その行為者に対して社会…

意外と知られていないこと‐しったかぶれる法学用語解説(3)

【自然法と実定法】 普通、「法」と言う場合は実定法*1を念頭においています。 実定法とは制度、慣習、判決など人為により生成される法のことです。少し難しい言い方をすると、実証的に経験的に把握される形で存在し、現実の効力を有するものということです…

「天に積む宝」を

Copy & Copyright Diary:[著作権]延長反対ロゴ経由で知ったのですが、aozora blogにて著作権延長反対ロゴを貼ろうというキャンペーンが実施されているようです。

意外と知られていないこと‐しったかぶれる法学用語解説(2)

【公法と私法】 公法とは、法の指導原理で、国家と地方自治体の関係と国家公共団体(国家+地方自治体)と国民との関係を対象とする法です。具体的には、憲法や行政法、警報、訴訟法があげられます。 対して私法は、個人同士や私企業(個人も私企業も私人と…

意外と知られていないこと‐しったかぶれる法学用語解説(1)

【法域】 世界には多数の法体系(法秩序)が存在します。 各国は、ひとつの法体系の下で、ある法域を形成するのが通例です。いろいろな法が混在していると混乱してしまいますし、同じ国の中なら慣習なども同じだと考えられるからです。ただしアメリカ合衆国…

白田先生インタビューを一部再録―許諾についての考察

以下のインタビューは2006年1月14日に国際大学GLOCOMの片隅で行われたものです。ised@glocomの設計研第7回終了後、ゲストコメンテータとして参加なさっていた白田秀彰先生に懇親会第1部の時間を割いていただきました。お疲れのところを缶ビール片手に語って…

some rights reservedについての考察

つれづれ:クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?を読んで。 私もよくわかっていないので、きちんと答えられるか不安ですが、とりあえずわかっているところまで書いてみます。 「 some rights reserved 」という表現には凄…

変容と教養

インターネットの普及によって国境を越えた問題が頻繁に起きています。また情報処理能力の飛躍的向上といった技術革新によっても重大な問題が発生しています。そうした問題は、憲法や法令が想定していなかったことです。 例えば、音声ファイルを圧縮してネッ…

今月の専門外書講読-イノベーションと自由

The Future of Ideas: The Fate of the Commons in a Connected World作者: Lawrence Lessig出版社/メーカー: Vintage発売日: 2002/10/22メディア: ペーパーバック クリック: 6回この商品を含むブログ (4件) を見る ようやく読み終わりました。長かったです…

ライセンスと契約について―つづき

「ライセンスって契約なの?」 前回、導入と結論だけ書いてみましたが、今回は鄯)ライセンスは契約と言っていいのか(技術的疑問)についてcedさんの素晴らしい解説などを引用しつつまとめていきたいと思います。*1私は ライセンシーの契約受諾に関する意思…

ライセンスと契約について

id:cedさんよりmixi上にてCCと契約について詳しく丁寧な解説とご意見を得ることができました!どうもありがとうございます。 というわけでCCJPシンポジウムまとめ③はしばらくおいておきまして、CCライセンスと契約について考えていきたいと思います。 疑問の…