some rights reservedについての考察
つれづれ:クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?を読んで。
私もよくわかっていないので、きちんと答えられるか不安ですが、とりあえずわかっているところまで書いてみます。
「 some rights reserved 」という表現には凄く違和感があります。「幾つかの権利を保持しています」という宣言だと理解していますが、幾つかの権利 ( rights ) を他者にも与えるためには、権利者がその権利を保持する必要があるのではないでしょうか。つまり、幾つかの権利を他者にも与え、残りの権利を保持するという意味で「 some rights reserved 」と述べるのはおかしいと思ってます。「 all rights reserved 」だからこそ、その権利を他者にも与えることができるのですから。
クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?
まずひとつ指摘しておきたいのは、"some rights reserved"というのは、著作権者が法で定められている著作権を全て保持している"all rights reserved"という状態から、いくつかの権利を放棄して*1、権利者の手元にsome rightsがreserveされているということだと思います。
そして、どの権利は放棄してどの権利は手元に残しておくかは、著作権者が自由に選べます。これは、CCライセンスを選ぶ際の選択肢によって定型化されていますね。
つまりはてブのコメント欄にもありますように
「reserved」を「保持」と訳すのではなく「留保」と訳せば理解できるかも。いくつかの権利は行使できるように留保し、いくつかの権利は行使しません(自由に使ってよい)よと。権利を保持していることは前提で。
shiranui
ということなのです。
以上のような論理展開を踏まえれば
なるほど。ただ、その解釈でも、私の感覚では違和感があります。「非営利」に関する点では顕著に。「帰属 - 非営利 2.1 日本」だと「あなたはこの作品を営利目的で利用してはなりません。」ということになる訳ですが、それは自分の保持する権利を行使するか否かは、相手がどのように利用するのかを鑑みて、自分の意思で決定することになります。とすると、b:id:shiranuiさんの仰る『いくつかの権利は行使しません(自由に使ってよい)よと。』とはちょっと実状が異なるのではないでしょうか。
クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?
という違和感も解消されるのではないでしょうか?
次に
クリエイティブ・コモンズでは、全ての権利を独占的に保持するのではなく、幾つかの権利を他者にも与えるようなライセンスになっていると思ってます。そこは特に問題ないというか、素人にも解りやすく、手軽に扱えるようになっているので素晴らしいと思っています。
クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?
と仰っているように"all rights reserved"でも"no right reserved"="public domain"でもない柔軟な著作権保持のあり方を提示できるのがCCの良いところですね。
はてブのコメント欄で言うと
Public domainとAll right reservedの間がsome rights reserved。だからCCにはPublic domainの規定もある。
buru
ということになります。
具体的にはどれが Public domain ということなんでしょうか?「帰属 2.1 日本」ですか?
クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?
public domainは全権利放棄なので、つまり帰属も放棄するということになるので、日本のCCライセンスはpublic domainにあたるライセンスはありません。本家のアメリカ版にはpublic domainにあたるライセンスがあります。
さて、みっつめに指摘しておきたいのは、著作権は人権ではないということです。著作権はもともと独占権でしたが今では知的財産権という財産権の一種とされています。*2
そして財産権であるからには自分が買ってきた指輪をプレゼントとして渡せるように、あるいは遺産相続を放棄できるように、著作権も譲渡したりも放棄したりすることができるのです。
最後に
「All rights reserved」でもなく「Some rights reserved」でもない表記がされることがあるのでしょうか?
クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?
public domainだと"No rights reserved"がそれにあたりますが、CCでは一括して"some rights reserved"になっています。
今回のように誤解を招くことになるのでpublic domainや"all rights reserved"は別の方が良いのかもしれませんね。