白田秀彰著『インターネットの法と慣習』ベストセラーへの道


7月15日に発売された白田秀彰先生の書籍についてお知らせです。
『Hotwired Japan』の人気連載に大幅な加筆、書き下ろしを加えて刊行するそうです。変化するネット社会を歴史的な観点で捉え、リアル社会との関わりや今後の展望までもを論じた一冊である、との自負があるとのことです。


白田先生からコメントをいただきました。

著者でーす。上記の「自負」なんですけど、出版社の自負でして、私の自負ではないです。

おなじソフトバンク新書から出ている、新城カズマ氏の「ライトノベル超入門」を読んでみたら、私の「法と慣習」の特徴のいくつかはライトノベルの特徴と被るのではないかと考えるようになりました。そこで、考えた新しいカテゴリーは、

「ライト・アカデミズム」略して「ライアカ」。

内容的にはマジなことを軽い口語文体とちりばめられた冗談で楽しく読ませることを目的とする学術書モドキ。著者のキャラにも大きく依存しているところも特徴の一つです。私の「法と慣習」に魚さんの萌えイラストがついていれば、完璧に「ライアカ」となっていたはずです。

これからの出版のトレンドは「ライアカ」!。
(2006/07/13 11:29)

My Book Review
ネットワークの常識が現実世界の非常識であることは少なくない。著作権に対する感覚とか、あるいはガバナンスとか安全性とかに関してで、例示すれば枚挙に暇がないだろう。
「ネットワークに独自の法あるいは固有の価値」があると感じるならば、それをきちんと醸成したり体系化して整理しないとまずいんじゃないの、というのが著者の主張だ。
それは広い意味で政治的たれということである。


さて、本書の美点は知的なエンタテイメント性にあると言っていい。
イングランド法を中心とした法制史の観点を持ちつつ、ネットワークの現状を分析するというとてもラディカルでアクロバティックな論理展開をみせてくれる。
それと同時に「学者ことば」で語らず、軽やかに語りかけてくれるので、重ためのテーマに比してとっつきやすいところも秀逸だ。著者近影をはじめとしてネタ・ベタともに満載で、暴走ぎみの笑いがスリリングですらある。
軽やかに、でも本気でネットワーカを挑発する書だ。


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書評